十二階をむやみに歩き回って地図を埋めていると、アーテリンデと遭遇した。ミッションを片付けるまでは上の階へは行かせてくれないらしい。生意気な。
 フォースゲージが溜まっていたので、ボスでも復活していないかとフラフラと階段を下りていく。
 炎の魔人は不在。ダメージ床やFOEを華麗に避けつつ歩いていたが、うっかり七階でサルに襲われる。春歌のTPはすでに底をついて久しく、千影もあと二回くらい呪言を唱えたら終わり。幸いにも前列の二人がまったくTPを使っていない(テムジンは能動型のスキルを持っていない)ので、咲耶がツバメ返しとか使ってみる。
 200↑ダメージが三回! うわー。いつの間にこんなに強くなっていたんだろう。
咲耶「これがこの十一階で暴れまわっている魔物の巣やね」
千影「何も……異常はない……?」
テムジン「ふが?」
 結局、件の魔物とは一度も遭遇することなくクエスト自体は達成したのだが、何とも消化不良なことこの上ない。
 夜になるのを待って氷花の探索再開。昼間の内に可能な限り地図を埋めておいたので、動き回っているFOEがよく見える。
春歌「大発見ですわ!」
咲耶「どないしたん?」
春歌「氷の床の上を滑っている間は、FOEの動きが止まってますの」
亞里亞「す〜ご〜い〜の〜」
咲耶「動き回られてても困るやろ」
千影「これは……使えるかもしれない……ね」
テムジン「ふが?(何に?)」
千影「……」
 魔界の邪竜との不意の遭遇! 全滅! うわ。
 ハサミカブトの不意打ち! 二ターン目に邪竜乱入! 全滅! なにそれ。
 すったもんだの挙句に氷花入手。公宮に届けると、現れた麗しき公女の姿は……!
亞里亞「ぐ〜ら〜ど〜り〜え〜r」
テムジン「ふがふがふが!」
咲耶「あ、亞里亞! 公女様の前や、控えなあかん」
千影「どう見ても……プリクラ……本当にありがとう……」
咲耶「わーわーわー!」

 余談。ティルナノーグのメンバーは、主にステータスアップとパッシブスキルから取って地力を上げる方向なので、雑魚戦ではいい感じに戦えます。が、逆に言うとここ一番で頼れる強力なスキルが無いため、一発逆転がありません。具体的にはツバメ返しと火炎の術式、それにペイントレードしかない。一応、核熱の術式もあるけれどしょせんLV1では……。ちなみに、テムジンは相変わらず能動型のスキルを持っていません。ボス戦での主な仕事は壁であり、全体攻撃を全部拾って倒れたりする。

 FOEを華麗に避けつつ、四つの氷花を見つけた一行の前にまたしても立ちふさがるアーテリンデ。
アーテリンデ「公国のミッションをクリアしたようね」
咲耶「別にあんたに言われたからやない。私らが自分の意思で受けた依頼を果たしただけや」
アーテリンデ「探索をやめるつもりはない?」
咲耶「何でそんなこと言われなあかんのや。ちょっとむ、胸が大きいからって調子に乗っとるん!?」
千影「胸は……関係ないね……」
咲耶「ぶ、ブシドーいうんは素早さと攻撃力の高さがウリなんや! 大きい胸なんてあっても邪魔なだけなんやから……」
テムジン「ふがふがふが!(貧乳は希少価値でステータスだ!)」
咲耶「パンダは黙っとき!」
アーテリンデ「これより上の階には……」
春歌「でも大きな胸と言うのは母性の象徴でもありますし、それだけで男性に安らぎを与えることもできますのよ」
亞里亞「ふ〜か〜ふ〜か〜な〜の〜」
春歌「ちょ、亞里亞さん、どこを触って……!」
咲耶「うっさいうっさいうっさーい!」
アーテリンデ「……いや、あの……」

 上の階にあがったら、水辺の野郎に処刑されまくりました。泣きそう。